表2 生薬の副作用と関連する漢方製剤

生薬
注意が必要な副作用
漢方製剤の例
(  )内の数字は1日量中の含量
備  考
甘草
(グリチルリチン)
偽アルドステロン症
低カリウム血症
ミオパシー
[68]芍薬甘草湯(6.0g) [72]甘麦大棗湯(5.0g) [32]人参湯(3.0g) ・漢方製剤(エキス製剤)の約7割が甘草含有(表3. 参照)
   → 漢方薬の多剤併用に注意
・利尿薬,グリチルリチン製剤との併用注意
麻黄
(エフェドリン)
自律神経系症状
消化器症状
[28]越婢加朮湯(6.0g) [27]麻黄湯(5.0g) [85]神秘湯(5.0g) ・交感神経刺激薬との併用注意
・高齢者への投与に注意
・自律神経系症状:不眠,発汗過多,頻脈,動悸,全身脱力感,精神興奮など
・消化器症状:胃もたれ,食欲不振,心窩部痛,下痢
附子
(アコニチン系アルカロイド)
中毒症状 [97]大防風湯(1.0g) [107]牛車腎気丸(1.0g) [127]麻黄附子細辛湯(1.0g) ・中毒症状:口唇,舌のしびれ,動悸,のぼせ,顔面紅潮,
手足の麻痺・しびれ感,悪心・嘔吐,心悸亢進 等
・解毒薬:アトロピン,塩酸プロカインアミド,ステロイド 等
地黄
消化器症状
皮膚症状
[7]八味地黄丸(6.0g) [51]潤腸湯(6.0g) [64]炙甘草湯(6.0g) ・消化器症状(胃もたれ,食欲不振,心窩部痛,下痢)がおこりやすい
桂皮
皮膚症状 [60]桂枝加芍薬湯(4.0g) [61]桃核承気湯(4.0g) [99]小建中湯(4.0g) ・皮膚症状:発疹,発赤,掻痒など 原則的には投与中止で改善
必要に応じ抗ヒスタミン薬,ステロイド薬等投与
黄耆
[20]防已黄耆湯(5.0g) [41]補中益気湯(4.0g) [98]黄耆建中湯(4.0g) ・皮膚症状:発疹,蕁麻疹など
黄ゴン
アレルギー反応 [8]大柴胡湯(3.0g) [9]小柴胡湯(3.0g) [15]黄連解毒湯(3.0g) ・肝障害,間質性肺炎などに注意
・証が合っていても起こり得るため要注意
当帰
消化器症状 [3]乙字湯(6.0g) [86]当帰飲子(5.0g) [102]当帰湯(5.0g) ・消化器症状:食欲不振,胃部不快感,悪心・嘔吐,下痢 等
川キュウ
[23]当帰芍薬散(3.0g) [48]十全大補湯(3.0g) [54]抑肝散(3.0g)
山梔子
[135]茵チン蒿湯(3.0g) [58]清上防風湯(2.5g) [15]黄連解毒湯(2.0g)
酸棗仁
[103]酸棗仁湯(10.0g) [65]帰脾湯(3.0g) [137]加味帰脾湯(3.0g)
石膏
[34]白虎加人参湯(15.0g) [55]麻杏甘石湯(10.0g) [109]小柴胡湯加桔梗石膏(10.0g)
ヨク苡仁
[78]麻杏ヨク甘湯(10.0g) [125]桂枝茯苓丸加ヨク苡仁(10.0g) [52]ヨク苡仁湯(8.0g)